2010年9月5日日曜日

ワシントンDCでの研修

9月2日の日記からの続き。

DC到着後2日目から研修が始まった。

ELNECという、緩和ケアや終末期医療に従事する看護師が、職場で指導できるようになるためのトレーニングプログラムに参加した。2000年のはじめにアメリカで開発され、今では世界中に広まっている。看護師の資格は問われず、スタッフナースだけでなく、CNSやNPも受講対象者。

現在までに1万人ほどの指導者が誕生している。資格更新制のアメリカらしく、この研修を受けただけでは永久に指導者とは呼ばれず、半年、1年とこの研修で習ったことを職場で教え、そして実施した内容をこのプログラムの作成元のアメリカ看護大学協議会(AACN)に報告しなければならない。これを怠ると、指導者リストから削除される。

日本でも2009年から開始されていて、現在250名ほど誕生している。http://kanwaedu.umin.jp/elnec/index.html


以前から受講したかったのだけれど、卒業するまではそんな時間もなかったし、時間が取れてお金に余裕ができたら受けようと思っていた。

5月にサンディエゴで開催されたONS学会で、ELNEC開発者であるBとPが、他のELNECのメンバーとあるセッションで講義をした。このBは毎年日本に講演に行っているし、面識を持ちたいと以前から思っていた。

セッションの後に、名刺を持ってまずBに自己紹介をした。ELNECをアメリカにいる間に受けるべきか、日本で今後働く予定だから日本のプログラムを受けた方がいいのかと相談した。それに加え、アメリカでは$500(約5万円)もして、日本ではその半額以下で受講できるし、、受講料だけでなくて飛行機代とかホテル代もかかるし、貧乏学生には厳しい、、うちの大学の学費は特に高いから、、なんてことも付け加えて言った。


そしたら、PとBは何やら相談を始め、



「アメリカで受けたらどうかしら。受講料は免除してあげるから。それから、数種類あるELNECの他プログラムのCD-ROMとかも差し上げるわよ。コネチカットからだったら、ワシントンDCが一番近いわね。どう?」



と言ってくれたのだ。予想外の展開に、天に舞い上がる気持ちだった。夢をみているような気がした。そして、PとBのやさしい心地よい話し方や笑顔の魅力にも取りつかれた。

そんな訳で、今回ワシントンDCで受講することができたのだ。


勉強をしたい人に手を差し伸べてくれる人が、ここアメリカでは本当に多いと思う。


6月の一時帰国中に、Bが緩和医療学会で講演をしたので、その時に再会。そして、ELNECを日本語に訳し、日本での普及活動と指導にあたっている方をPとBに紹介してもらい、学会中にお会いすることができた。アメリカ人に日本人を紹介してもらうなんて、不思議な気分だった。


プログラムは予想以上にすばらしく、BやPの緩和医療に対する情熱を間近で感じ、感動して涙が出そうになったくらい。随所に効果的に映像が使われたり、講義だけでなくてロールプレイやケーススタディ、グループワークなども織り交ぜられていた。全米の緩和ケアに携わるナースや、チャプレン、精神科医などともネットワーク作りをすることができた。緩和ケアにおける多職種チーム医療の大切さも改めて体感した。

たまたま隣に座ったGは、60代半ばくらいの超ベテランCNS。こんなにキャリアも経験もある人でも、こうしたトレーニングを受ける。なんとGは今回で受講するのが3回目だという。緩和ケアは経験だけではできず、それ相応の教育を受けることも必要。患者さんのQOLの維持と向上のためには、医療者は継続して教育を受けることも必要。そんなことをGから学んだ。



期待していた以上に学ぶことができて、ほんとうに、本当に有意義な2日間だった。PとBには感謝の気持ちでいっぱい。Bとは不思議な縁があることが、後に訪れたフィラデルフィアで発覚した。それについてはまた後日。世の中本当に狭い!

気持ちも頭もいっぱい、充実して夢のような2日間だった。


ただ帰途はちょっと憂鬱だった。厚さ4インチ(約10センチ)の講義で使ったバインダー、Bが書いたかの有名なPalliative Nursingの最新版、その他たくさんの教材をいただいたので、重くって重くって。でもうれしい悲鳴だった。






右下のピンクのポストイットも、真ん中のトートバッグに入っていた。講義中に大事なポイントをメモしてハンドアウトに貼り付けるためということで配布された。こうした小さな気配りができることも、緩和ケアに従事する者として必要かな。


学んだことをこれからアメリカと日本で生かして、指導者でありつづけないとね。

こんなすばらしい機会を与えてくれたPとB、どうもありがとう!!!