月曜日は特に、実習先は忙しい。今日治療のない患者さんたちのキャンセルが相次ぎ、午前中は普段の月曜日からは想像できないほど、時間がゆっくり流れていた。たまにはこういう日もいいな、なんて考えていた。
ある患者さんの診察終了間際に、次に診察する予定だった患者さんが、診察室の中で突然出血したとメディカルアシスタント(K)が教えてくれた。
この患者さんの腫瘍が、頚動脈を巻き込んでいたので、いつ出血してもおかしくない状態だった。気切をしていて、1ヶ月ほど前ににも気切の周りから出血して数日入院したほど。DNRを診察のたびに勧めていたが、この患者さんは頑なに拒否していた。
ある抗がん剤投与後、血小板減少が遷延していて、2万ほどしかなくて、好中球減少も起こしていた。
この状態で再度出血したと聞いて愕然とした。
患者さんの元に駆けつけると、床一面血の海。しかももちろん鮮血。気切孔を見ると鮮血が吹き出している。
コードブルーを周りに要請して、そしてメディカルアシスタントと患者さんを床に寝かせた。他のメディカルアシスタントが、カートなど持ってきてくれた。このKそんじょそこらのアシスタントではなかった。ルートを確保しようとしたら、すでに駆血帯を巻いて、アル綿とサーフロをすばやく渡してくれたり。その他にもかゆいところに手が届くような動きをしてくれた。
コードチームが到着したのは、約5分後。大病院の宿命なのかもしれないけど、こういう事態で5分はかかり過ぎ。IRで塞栓できず、結局手術室へ。その間にも何度も脈が触れなくなったりしたけど、手術に耐えICUに入室した。
今学期の実習日に、担当科でのコードブルーがあったのは2回目。頭頚部がんの性質上、どうしても急変する/命にかかわることが多い。
この状況を踏まえ、教育担当のナース(修士号を持ち、教育者としての認定試験をパスしている人)
が中心となり、この場面にいた人を集めてのミーティングがあった。それから、チャプレン、ソーシャルワーカー、QI室の人なども集まった。コードブルーがあるたびにミーティングが行われるのではなくて、コードブルーの中のコードブルーだったため開催された。
まずは、それぞれの人が自分の感情を話してわかちあうことから始まった。血の海を見て怖かった。患者さんがかわいそうに思ったなどなど。私も話すことで、張り詰めていた気持ちが和らぐのを感じた。中には涙ぐんでいた人もいた。
医療者でも大量の血を見たりすることは、衝撃が大きい。家族や友人ではなくて、その場にいた仲間に話すことで気持ちが楽になるとのことで、まず気持ちの分かち合いから始まったのだ。
それから、その時の状況を皆で振り返り、今後コードブルーが起きたら、どう動いたらいいのか話し合った。
そして何よりいいと思ったのが、「ここにいる全員が、最善を尽くした。」とお互いをねぎらったことだ。そして、MVP賞ではないけれど、中でもいい活躍した人を皆でたたえたり、お互いハグし合ったり。
がんは慢性疾患と呼ばれているけど、急変もたくさん起こりうる。急変対応後の気持ちの建て直しのためにも、こうしたミーティングがいろいろな施設で導入されたらいいと思う。